プログラマ全般

SESという形態でIT業界で仕事すると起きる正社員と外注(協力会社)との間におきる格差の問題。

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私、ヤマは本業は SES という形で仕事の契約をとっているフリーランスのエンジニアなので、下記のコラムはとても心に響きました。ご紹介します。

仕事場での「格差」というと、大きな所になると「社内いじめ」みたいなところとか「仕事場での不当な扱い」みたいなことの話になります。

「格差を認めざるおえない」というのは、私はそういう格差をなくしたい方なので同意はしないのですが、こういう視点は大事だよな。という所でいい内容に感じました。

前提としてのIT業界の大きな枠組み

少し長くなりますが、説明します。なるべく手短に。

SESというのは、ソフトウェアエンジニアリングサービス といって、たいていの場合は、常駐型で朝から晩まで、お客さんの仕事場にいって仕事をして帰宅するという形のビジネスの形態をいいます。

いわゆる派遣社員と似ているのですが、SESというビジネスでは派遣契約ではなく準委任契約という契約形態がとられることがほとんどです。

これは派遣契約と異なり「指揮命令系統が違う」ということになります。

派遣契約だと、派遣社員は正社員(お客様企業社員)の指揮命令の下に働かなければいけませんが、準委任契約だと正社員(お客様企業社員)は、委任した相手(SESで来ているエンジニア)に対して、命令はできずに、委任することになります。つまり「やれ!」という命令はできないけど「お願いします」というお任せはできるという話になります。

医師や弁護士などと仕事をするときにこの準委任形態での契約を交わすことになります。

患者さんが、医師から医療サービスを提供してもらい、お金を払う。これがビジネスですが、この時、患者さんは医師に「命令」はしません。あくまで「病気治してよ」という「依頼」をすることになります。

弁護士でも医師でもそうですが、お金を払ってくれる相手の「命令」に従う必要はないわけです。専門家はお金を払ってくれる相手ではなく、お金を受け取る弁護士さんや医師さんなわけで、お金を払ってくれる相手の命令に従っていたら仕事がはかどらないでしょう。

弁護士や医師は「正しく仕事をする」ということを求められますが、命令に従う必要はないです。

これを、ITのプロフェッショナルに適用した契約形態が準委任ということになります。

ありがたいですね。プログラマが医師や弁護士と同格扱いな契約形態なので、私はとてもありがたく思っています。

この契約形態によって、私なんかの働く側はかなり守られていると感じます。「お願い」ではなく理不尽な「命令」をしてくるのは、国が決めている契約形態でのルール違反になります。会社のルールとか関係ありません。(そもそも所属会社が違うわけだし)

そういう違法な「命令」は下してほしくないのです。(が、実際には変な人はしてきますけど)

正社員雇用「契約」は突発的に首(という雇用契約終了)にならないというメリットがあります。対してフリーランスなどの準委任という「契約」には、突発的に首にちかい契約終了になるし、働いている側に全く落ち度がないのに会社側の都合で自由に契約終了になります。1ヶ月ごと、3ヶ月ごとの更新時にそうなるリスクがあります。

会社側としても、変な社員を抱えてしまうよりも、人材を集めた上で不要な人は切り捨てるという、非常にアメリカン的なビジネスができるということで「準委任契約」、つまり、SESというビジネス形態が喜ばれています。また、その中で仕事を得続けている自分からすると、リスクがある分、自分を守るすべくらいは身につけていますので、その分、いくらでも高額報酬はもらっていいでしょう。という気持ちはあります。

委任をしているのか、あるいは命令なのか、というのは結構あいまいなことなので、「SES」という準委任して仕事させるビジネスは「労働者に不利になる」とか「偽装請負だ(違法だ)」とか「偽装派遣だ(違法だ)」とか「違法だから、ちゃんと請負や派遣での契約仕事にするべきだ」という主張も聞きます。

ですが、あくまで「委任」されてやっているわけで、ビジネスの契約として発注者受注者双方が納得した上での契約となるのですから、お互いがそれに同意して契約しています。働く人は能力を提供し働いてほしい人は報酬を払う、ということなので、どこが違法なのかって話になります。完全に合法でしょう。

むしろ、10年もフリーランスをやっていると「正社員雇用契約」という仕事の契約形態こそが、労働者を守るとみせかけて、経営者も労働者も誰も守らず日本を腐らせた契約形態だと感じてしまうので、労働者はみんな契約形態にしばられずに企業と自由取引すればいいのに、と思ったりもします。まあ、そういうのはなかなか実現が難しいかもしれません。私はやりますが。

# たくさんの環境を知っているからわかることがある。

自分はフリーランスになってから、10年で20回ほど仕事場を変えているので、おそらくたいていの人よりも、最もこの業界の実情を経験から知っている、と言えるでしょう。世の中では 20回も転職していたら頭のおかしい人と思われるかもしれないですが、私の場合、フリーランスなので「転職」ではないですね。職業は変わっていないです。でも、仕事場が変わるということは転職みたいなものなんです。

いろんな仕事場を見てきたのでいろいろよく知っています。

例えば「仕事は3年やって初めていろいろわかるもんだ」嘘ですよね。最初の数ヶ月で教える人がしっかり教えて、意欲的に学べるならすぐわかるでしょ。

例えば「君はできが悪い」嘘だったですね。言っている人の方が出来が悪かったとか。

例えば「おまえなんてどこいっても通用しない」嘘ですよね。そんなことを言った人がどの程度の仕事場を目にしたのか。たかが数社程度でしょう。どこいっても仕事をまじめにしようとしない堕落した人ってのは確かにいますが、まじめに仕事しようとする意思をもっている人は、特定のところで通用しないことはありますが、どこいっても通用しないことはないでしょう。

まあ、世の中の上から言ってくる人の権威を利用した人を傷つける発言って、ほとんどが嘘でした。そういうのは無視して仕事をすることがうまくやる秘訣のひとつでしょう。

# そして格差問題

長く脱線してしましまいました。話をもとに戻します。

このような契約形態の違いがあって、今のITの現場には、自社の人、協力会社の人、入り乱れて仕事をしています。たまに、大手SIerの仕事とかではその会社の人は一人もおらず、ほぼ全員が協力会社の人で、百人規模のプロジェクトなのに、その会社の人は数人、なんていうかなり無茶なプロジェクトもありますが、たいていは、自社の人が3~7割、協力会社の人7割~3割、みたいな環境で仕事することが多いです。

会社に何人かいたら、ひどいヤツは中に混じっていると思いますが、これは、ITの業界でも全く同じです。

そしてそのひどいヤツが、権威的な上位者のところにいると非常にやっかいな話になります。

SESとして仕事をしているので、いわゆるパワハラに類することは多く経験してきました。

エンジニアとして、あるいはSEとしての仕事の実力で評価されるのではなく、差別的な判断によって仕事場を追われるという経験はなかなか「理不尽だなー社会ってーーー!!!」と嘆きたくなるようなものです。

私は全く恨んではいません。ネタとして笑いに昇華してしまうようにしています。ですが、他の人が同じ目にあったら、ひどい精神状態になりますね。簡単に「パワハラでもなんでも許しちゃうよ!」とは思っていません。なるべくそのようなパワハラ仕事をする
人は減ってほしいものです。

なぜ、ひどい扱いを受けたかというと、主には他のエンジニアからのジェラシーです。

ぽっと現れた私のようなフリーランスエンジニアが、突出した結果を出し、腰の低いコミュニケーションを行い、コーディングなどに抜かりなく努力しまくり、そしてどうやら稼いでいると思わせる事は、そのポジションにしがみついている人からみたら許せない嫉妬心=ジェラシーを引き起こします。

ぽっと出のエンジニアに自分のポジションが乗っ取られてしまう!俺は長年仕事しているのになんでこんな新しく来たやつに何もかも抜かれなければいけないんだ!とかなんとかいう思考が働きます。

出る杭は打たれる、の見事な実例になるわけです。杭を打っている方は自分がジェラシーによって不当なパワハラというか差別を行っているという意識は非常に少ないです。なぜならば、ジェラシーを感じているということを認めるのは、自分が相手よりも出来が悪いと認めるということだったりしますから。

# 周りと協力できることが本当の有能さ

仕事する上での、本当の有能さを見極めるのはなかなか難しいものです。プログラマはよいコードを書ければ有能、となるようにみえますが、実際はそうではないと思っています。

私は仕事の有能さの大きな要素としてどれだけ多くの人(客・仲間)をどれだけ効率よく仕事できるように助けたのか、というものを見ます。自分がちょっと労力をかけて他の人が効率よく仕事をできるなら、それはチームとして大きな生産を生み出すからです。

たまに「プログラムを書く能力は十分に有能だけど仲間を潰す」ような人間がいますが、こういう人は周りの人を傷つけるというひどくチームの生産性にマイナスとなる行為をしているので、実に仕事ができない人とみなしています。本当の有能さは持っていない無能なヤツです。

嫉妬心=ジェラシーにかられて、他の人のやる気を削いだりするような「本当はあまり有能ではない人」ではなく、周りの力をパワーアップさせてくれるような「本当に有能な人」が、格差や差別の犠牲にならずに公正に活躍していくようになってほしいですし、自分はそのようになっていくように、うまく仕事で成功していきたいと思っています。

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